歩道橋の耐震設計

道路の立体横断歩道橋の設計について、動的解析を行う必要があるか教えてください。

一般的な構造の歩道橋においては、中部地整の設計要領ではレベル2でも静的解析を原則、とあるのですが、他の地域でもそのような考えが主流なのでしょうか。

対象自治体(中部ではない)の設計要領には規定がなく、該当歩道橋には力学的に静的解析が適用できることを証明(説明)する必要が生じています。
形状は一般的ですが、道示通りに読めば動的解析をすべき構造(ラーメン)にあたります。
しかし、よくある構造なので中部地整ではそのような規定を設けたのではないかと思われます。
近年では標準的な構造の歩道橋は動的解析をしない方向にある、と考えてよいものか、教えてください。

コメント

#10034

中部地整の設計要領は以前は道示に従う、鋼製橋脚に塑性化を考慮、ラーメン橋などでは動的解析で→改訂後は立体横断歩道橋はL1、L2地震に対する~「静的解析を原則とする」のくだりかと思います。
が、ただし書き④で構造部材や橋全体の非線形履歴特性に基づくエネルギー定則の適用性が十分検討されていない場合は動的解析による、ともあります。
H8道示道示では鋼製橋脚で中詰めコンクリート充填したものは保耐法すなわちエネルギー一定則が成り立つとしていました。
その後の知見でH14道示P44~P45解説文(2)2)で鋼製橋脚に塑性化を許容する場合は動的解析となりました。
H14道示P194の11章11.1解説文「一方、コンクリートを充填した鋼製橋脚については、従来の耐震設計(H8道示)~P195解説文、上から3行目」でコンクリートを充填した鋼製橋脚は水平力-水平変位(Pーδ)が降伏後も水平力上昇がない完全弾塑性型バイリニアではなく、降伏後も水平力が上昇することが分かったからで、これは鋼製橋脚ではコンクリート充填の有無に関係なくエネルギー一定則が成り立たないということです。
H14道示以降にL2動的解析はほぼ必須のようになった際、振動系が複雑な場合(弾性支承をかまえた場合)など、それまでのエネルギー一定則+1次モード前提の保耐法が適用できなくたったためです。
立体横断歩道橋では鋼製橋脚が多く用いられると思いますが、1スパンの立体横断歩道橋で振動系が複雑ではないので鋼製橋脚のL2時照査は静的解析で良いは、ほぼ適用できません。
(L2時でも鋼製橋脚が弾性応答にとどまるのであれば別ですが、降伏耐力値のみで弾性か塑性化を論じることはせず、降伏後の応力上昇を考慮した骨格曲線H24道示P221 図-11.3.1、図-11.3.2で断面構成則を構えた解析モデルで弾性、塑性化を論じます。保耐法は柱が塑性化することを前提としたエネルギー一定則+1次モードが前提の解析、設計法ですので。)