アルカリ骨材反応による鉄筋破断に関するコンクリート委員会中間報告が出ました。

 アルカリ骨材反応によるコンクリート膨張によって、鉄筋コンクリート構造中の鉄筋が破断する事例が複数報告されてます。
 過去、このサイトにおいても4/30付けでmasaakiさんより「アルカリ骨材反応による鉄筋破断」と題した投稿が寄せられていました。
 学会ではコンクリート委員会の中にアルカリ骨材反応対策小委員会を設置し議論して参りましたが、土木学会誌9月号に同小委員会から「アルカリ骨材反応による鉄筋破断が生じた構造物の安全性評価(中間報告)」と題した報告が掲載されました。

 本小委員会は、今年(H15年)4月より2年間を目途に活動を開始し、今回、鉄筋破断の実体と道路や鉄道で良く使われているT形鉄筋コンクリート橋脚とT形プレストレスコンクリート橋脚の4つの構造物を対象に主鉄筋の圧接箇所および折曲鉄筋やスターラップの曲げ加工部などに破断が生じたと想定して安全性評価を実施し、その結果を中間報告としてまとめています。4月からの小委員会の活動経緯は、アルカリ骨材反応対策小委員会のホームページをご覧下さい。
 評価した結果の詳細は本文を読んでいただくとして、その概要だけを書くと今回対象とした構造物は、部材断面が大きく、鉄筋比の小さいはりであったことから、コンクリートの強度低下が曲げ耐力およびせん断耐力の低下に与える影響は小さいく、アルカリ骨材反応によってただちに構造物の安全性が損なわれるということは生じ難いとしています。ただ、現状を放置すると、将来、構造耐力の低下を招く複数のシナリオが存在することが明らかになりつつあり、今後はそのようなシナリオに基づく維持管理が重要となってくると指摘しています。

 最後に蛇足ですが、この報告の学会誌の中での取扱で残念だったのは、目次に今回の報告の表題が出ておらず、目次からはこの記事をさがすことができないことです。学会誌も将来電子化され図書館にアーカイブとして保存されていくと思いますが、もれなく価値ある情報を整理することの難しさがここにはあると思います。
 因みに、この記事は、P83ページの委員会報告にあります。

 

丸ビル駐車場にETC導入

三菱地所三菱商事は,9月6日から丸の内ビルディング(丸ビル)の駐車場で,ETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)を利用した料金支払いサービスを始めると発表しました。駐車場でETCが設置されるのは初めてということです。

・平成15年9月2日 三菱商事プレスリリース 丸ビル駐車場 日本初の多機能型ETC(DSRC)サービスを導入
・平成15年9月3日 産経新聞[注1] 駐車場に初のETC導入 開業1周年の丸ビル

注1: 「記事検索」で“ETC”を検索して表示可

一部の高速道路を国が公団から買い取り直轄化

国土交通省の佐藤信秋道路局長は,平成15年9月1日の道路関係四公団民営化推進委員会で,直轄高速道路に選定した路線の一部を既に日本道路公団が建設している場合,その区間を国が公団から買い取ることもあり得るとの考えを示しました。買い取った区間の通行料金は,原則として無料となるそうです。

・平成15年9月1日 日本経済新聞[注1] 国交省,国が直轄高速道を公団から買い取りも

関連記事:
・平成15年8月27日 産経新聞[注2] 16%増の8兆円を要求 国交省04年度概算要求
・平成15年6月7日 産経新聞[注2] 都道府県の意見反映へ 新直轄高速道の対象路線

参考:
高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案について(国土交通省)

関連投稿:
意見交換広場:高速道路の無料化について

注1: 「特集一覧」「道路公団民営化」に掲載
注2: 「記事検索」で“新直轄”を検索して表示可

原子力使い水素を製造、原研が製造実験に成功

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以下の記事を見つけました。

○原子力使い水素を製造、原研が製造実験に成功
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/j/eco/263132
 日本原子力研究所は、水を熱で分解して毎時35Lの水素を製造することに成功した。実験では電気ヒータで熱を供給したが、実用になったときの熱源として原子力を想定している。

これって、原子力発電の副生成物が燃料電池の燃料として使えるってことですよね。 実用化出来ればすごいことです。原子力発電(と原子力を使っている企業)の付加価値が向上することにつながりますね。ガス会社の燃料電池に当社が水素を供給するということもあり得たりして・・・

丸の内シャトル 乗ってみませんか?

東京の大手町・丸の内・有楽町地区で,平成15年8月22日から無料巡回バスの運行が始まりました。
このバスは,地元の企業や地権者で構成する「大手町・丸の内・有楽町地区シャトルバス運営委員会」が実施主体となり,日の丸自動車興業に委託して低公害の電気バスを無料で運行しているものです。
バスは,東京電力と日の丸自動車興業が共同で開発した「タービンEVバス」と呼ばれるもので,電気とマイクロガスタービンを組み合わせたハイブリッド方式の新しいバスです。車両はニュージーランド製です。

参考:無料巡回電気バス 「丸の内シャトル」(日の丸自動車興業)

中部国際空港 トヨタ方式で1,000億円削減

以前にも「ブックレビュー:トヨタが造る空港〜カイゼンで1000億円安くなる〜」でご紹介しましたが,中部国際空港の総事業費が,当初計画の7,680億円から,1,000億円超も縮減されることが明らかになりました。トヨタ自動車の生産方式が生んだ快挙は,今後の公共事業のモデルケースとして注目されるでしょう。

・平成15年8月24日 産経新聞[注1] 中部国際空港,トヨタイズムで削減1000億円 「官の壁」崩しコストダウン徹底

注1: 「記事検索」で“中部国際空港”を検索して表示可
参考:
セントレア(中部国際空港)
中部国際空港株式会社
中部国際空港支援協会

横浜市営地下鉄 民営化か?

横浜市の中田宏市長の諮問機関「市営交通事業あり方検討委員会」(座長:松田昌士JR東日本会長)は,市営地下鉄の経営形態について,「完全民営化が望ましい」との答申案をまとめました。

・平成15年8月21日 読売新聞[注1] 横浜市営地下鉄,「完全民営化」を答申へ

政令指定都市の市営地下鉄の経営はどこも厳しいですが,完全民営化が検討された例は珍しいのではないでしょうか。今後,各地に波及するかもしれません。

参考
市営交通事業あり方検討委員会(横浜市都市経営局政策課)

注1: 「記事検索」で“横浜市営地下鉄”を検索して表示可

発光ダイオード信号機普及へ経産省が補助

経済産業省は,発光ダイオード(LED)式の信号機の普及を促進するため,地方自治体が負担する設置費用の2分の1を補助する方針を固めました。

・平成15年8月18日 読売新聞[注1] 発光ダイオード信号機普及へ,経産省が半額補助

LED式信号機の消費電力は従来の電球式の約8分の1で,全国の信号機をすべてLED式に取り替えると,原油換算で年間21万キロリットルの節約になるといいます。寿命が10年と長く(電球式は毎年交換),視認性にも優れているなど利点は多いですが,1台当たりの価格が電球式に比べ30%程度高いため,現在の普及率は1%程度にとどまっています。

注1: 「記事検索」で“発光ダイオード信号機”を検索して表示可

道の日に「ゆいレール」開業

平成15年8月10日の“道の日”に,沖縄で「ゆいレール」が開業しました。

ゆいレール 沖縄都市モノレール株式会社

ゆいレールは,那覇空港駅から首里駅までの12.9km(営業キロ)を27分で結び,表定速度は約28km/hです。

平成6年12月に実施されたバス利用実態調査によれば,同区間のバスの所要時間は,最短42分,最長69分という結果が出ており,ゆいレールの開業により15〜42分の大幅な時間短縮が図れることになります。

昭和47(1972)年度の「沖縄振興開発計画」において,軌道系の新しい交通システムの必要が提案されてから実に31年が経過し,沖縄県で初めての軌道系交通機関が実現しました。

インフラ部(軌道構造物等)は国,沖縄県,那覇市が道路事業として国庫補助事業で実施し,県,市および民間の第三セクターである沖縄都市モノレール(株)は,車両,変電所,線路,信号,駅施設設備などを保有してモノレール事業を経営します。

なお,ゆいレールの開業に伴って,バス路線が大幅に再編されました。

那覇市関連のバス路線の再編について(内閣府沖縄総合事務所)

債務を赤字国債で肩代わり―民主党の高速道路無料化案

民主党がマニフェスト(政権公約)の目玉として盛り込む「高速道路無料化」について,道路四公団が抱える約40兆円の債務を赤字国債で肩代わりし,一般道路の建設に充てている道路特定財源の一部を使って償還するとの素案が明らかになりました。成案は8月末をめどにまとめるそうです。

赤字国債は毎年2兆円ずつ30年間で償還し,新路線の建設や保守にも年2兆円かかるとみて,年間4兆円の道路関係費を捻出するとしています。

・平成15年8月10日 日本経済新聞[注1] 道路公団債務,赤字国債で肩代わり―民主の高速無料化素案

注1: 「特集一覧」「道路公団民営化」に掲載,投稿時点では検索不可
関連投稿:
「高速道路無料化」の議論